パイナップルの話 更新 2021.07.23

今回は、パイナップルの新品種((9)ホワイトココ)の追加を行いました。

 
1.パイナップルの概要
  石垣島・真栄里ダム北側のパイナップル畑
 パイナップルは、熱帯アメリカ(ブラジル地方)原産のパイナップル科・アナナス属の常緑多年草で、亜熱帯から熱帯地方で育ちます。果実の形が松かさ(Pine)に似ていて、味は甘酸っぱいりんご(Apple)のようだったことからそのように名付けられたそうです。

 日本で販売されているものの多くが輸入品で、中でもフィリピン産が9割以上になります。国内産はおもに沖縄県産で5~8月に出回ります。以前は主に缶詰で食べられる果物でしたが、最近は生果での消費が伸びています。パイナップルには、タンパク質分解酵素「ブロメライン」が含まれていて、肉を柔らかくする効果があるそうですが、タンパク質分解酵素は熱に弱く、加熱する料理では意味がないとのことです。
  
2.パイナップルの歴史
  「パイナップル産業と
 パイナップルは1000年以上前からブラジル南部、アルゼンチン北部、パラグアイにかけた地域で栽培されていました。そして1493年にコロンブスの第2次探検隊が西インド諸島でパイナップルを発見。大航海時代の波に乗り、16世紀にはスペイン、アフリカ、アジア、フィリピンなどにも渡来しました。
 日本には江戸時代末期の1866年、石垣島沖で座礁したオランダ船から川平湾に漂着したパイナップルの苗が、沖縄(日本)に最初に伝来したとされています。その後、石垣島では1930年に台湾からパイナップルの苗が運び込まれ、1935年には林発氏等を中心に、台湾から栽培農家53農家が移住(入植)して、本格的な生産が始まりました。1938年には石垣市に缶詰工場も建設され、県外移出が始まりました。しかし、第二次世界大戦で壊滅的な打撃を受けます。

 戦後、石垣島では1946年から、沖縄本島では1952年から栽培が再開されます。その後パイン生産は急増し、1960年には、サトウキビと並ぶ二大基幹作物として、沖縄の経済を支えるまでにパイン産業は成長します。
水牛導入の功績を称える」碑
 
 1970年代に入って、オイルショック、冷凍パイン輸入自由化、経済不況の影響を受け、最盛期1969年(年間10万t)の6割程度までに落ち込みます。
 その後もパイン産業は、パイン缶詰の需要低迷・安価な外国産パイナップル缶詰の価格攻勢等の影響を受け、ついに1990年には沖縄のパイン生産の需要の大半を占めるパイン缶詰の輸入が自由化されます。ウルグアイラウンドによるこのパイン缶詰輸入自由化により、沖縄のパイン産業は大打撃を受けます。

 かつて八重山にも多くの缶詰工場があり、最盛期には10工場があったそうです。私が初めて八重山を訪れた1970年代にも6工場があり、よくあちこちのパイン工場に出向き試食をさせてもらっていました。その後、前述のようにパイン缶詰の輸入自由化によりパイン価格が大幅に低下し、それに伴い農家は次々にパイン栽培をやめるようになりました。このため、パイン工場は加工原料のパインの確保が困難となり、結果として最後の加工工場(宮原食品)も1996年には操業を打ち切りました。
 (余談ですが、現在、石垣・市街地の大きな敷地を有するホテルや工場、団地などは、かつてのパイン工場跡地を利用しているところが多いです。)

 その後、一時期は激減した八重山でのパイナップル栽培ですが、今日では生食用の生果パイン作りが主力となっています。これは、石垣島・川原地区の住民の一人が1986年に本土の知人に完熟パインを発送したところ、好評だったことがきっかけだそうです。その後、郵便局のゆうパックによる全国発送が始まり、取扱量を増大させていく活動が他地区の農家にも広がっていったそうです。近年では航空貨物輸送や低温度輸送網の発達もあり、一層の生果用・完熟パイナップルの生産が盛んになりつつあります。

【パインの日、パイン消費拡大月間】
 沖縄県・農林水産省により、パインの生産の最盛期である8月を「パイン消費拡大月間」とし、パインの語呂と8月のスタートの意味から8月1日が「パインの日」と定められています。「パインの日」が制定されたのは、平成2年(1990年)ですが、この時期に定められた背景には、この年の4月からパイナップル輸入自由化が開始されたことと密接に関連しています。
 台湾中部の台中や員林地方の大同パイングループは、1935年(昭和10年)、パイン生産の新たな活路を求め石垣島の名蔵・嵩田地区に入植しました。林発氏らを中心に大同拓殖株式会社を設立、60戸、330人を呼び寄せ、幾多の困難を乗り越えパイン生産に成功し、1938年夏、初めて缶詰を本土に出荷しました。しかし戦時体制下でパイン栽培は禁止となり、工場も日本軍の兵舎にとられ、敗戦で廃業しました。
 工場を失った林発氏や廖見福氏らは、パイン産業を再興するため秘かに保存していたパイン種苗の普及を図り、家内加工による缶詰生産を再開します。時の琉球政府のパイン奨励、日本政府の輸入関税免除で、栽培は飛躍的に広大、格好の換金作物として、沖縄本島や宮古からの入植者たちの生活も支えました。やがて生産は沖縄本島北部へも広がり、さとうきびと並ぶ2大基幹作物に成長、最盛期には全沖縄で21工場となり、日本復帰前の沖縄経済を担いました。
 
(以下、省略)

 この碑は名蔵ダム左岸の「臺灣農業者入植顕彰碑」の隣に建てられています。
 
3.パイナップルの栽培
  西表島・船浦山間部のパイナップル畑
 パイナップルは、熱帯・亜熱帯域で栽培されています。耐寒性は弱いのですが、耐乾性は強く、痩せた酸性土壌の土地での栽培も可能な植物です。タイやフィリピン、ブラジルなどで主に生産されているほか、沖縄でも生産されています。沖縄では、西表島、石垣島、沖縄本島北部が主産地となっています。これらの地以外の、宮古島、沖縄本島中南部などで栽培がなされていないのは、隆起珊瑚礁のカルシウムによるアルカリ土壌で栽培不向きなためです。

 パイナップルは品種にもよりますが、一般に植え付けから収穫まで凡そ15~18ケ月(約2年弱)かかります。(中には収穫までに3年以上かかる品種もあります。) 自然下での主な収穫期は(品種により違いがありますが)、八重山では凡そ4月下旬~7月下旬となっています。 つまり、八重山でのパイナップルの旬は初夏から夏となります。(なお、収穫量・品種を問わなければ、八重山ではパイナップルは周年収穫されています。)

 パイナップルは一株に1個の実をつけます。実を収穫すると、再び芽を出し実がなりますが、収穫毎に実が小さくなっていくので、同じ株を2回以上使うことはありません。
 
 ところで、2011年度の沖縄県全体でのパイナップルの収穫面積は345haでしたが、そのうち八重山は106haでした。10a当たりの収量は、沖縄県全体での平均は1,840kgで、八重山は2,560kgでした。収量に大きな差がありますが、栽培には気温は勿論のこと、台風や旱魃といった天候によるものが大きく影響しますので、年によって違いがあります。
 沖縄県全体での収穫量は6,350tで、このうち八重山では約4割の2,710tが収穫されました。出荷量は沖縄県全体で6,160t、八重山では2,580tでした。この八重山での出荷量を用途別にみると、生果用が2,430t、加工用が150tで、現在ではほとんどが生果用として出荷されていることになります。

 なお、八重山における主なパイン生産地としては、石垣島では開南・川原・三和・名蔵・嵩田・伊野田地区が、西表島では大富・船浦・上原・中野・住吉地区などがあげられます。

(余談)
 加工用パインと生果用パインとは栽培方法が異なり、生果用パインを加工用パインと同様な栽培をすると「緑熟(表面は緑のままで熟していること)」を招くことになります。また、甘く濃厚な風味にならず、特に、甘みと酸味のバランスのよくないパイナップルになってしまいます。
 
4.パイナップルの種類
 
 以下に、沖縄で栽培されている代表的な品種を紹介します。
 2012年度のパイナップルの作付面積は、1位はN67-10で全体の62.0%、2位はボゴールで22.9%、3位はソフトタッチで14.4%、4位はゴールドバレルで0.6%となっています。他の新品種等は病気などの問題もあり、ほとんど作られていません。
 つまり、沖縄のパイナップルは、N67-10、ボゴール、ソフトタッチの3品種で殆ど全ての生産量を占めています。
 かつては缶詰用の品種の生産量が多かったのですが、最近は生食用として、より高糖低酸の品種が好まれる傾向にあります。
 
(1) スムース・カイエン (島パイン、ハワイ種、在来種、「N67-10」とも呼ばれます。)

 世界的に一番多く生産されているのがこの品種群です。主要品種は、1958~59年(昭和33~34年)に琉球政府経済局がハワイからパイナップル種苗(スムースカイエン種)を導入し、一般農家のほ場で栽培したものの中から選抜を行い、さらに1967年に沖縄県農業試験場名護支場において個体選抜を実施して生み出した「N67-10」です。

 「N67-10」は、果実が大きく、酸味と甘味のバランスがよく、果汁もたっぷりでみずみずしく、完熟した黄橙色の果肉は口の中でとろけ絶品です。生食はもちろん、缶詰やジュースにも最適で、果実のサイズは1~1.5kgくらいです。
 また、不良形質果実の出現がきわめて少なく、不要芽の発生が少ない「省力多収型」の品種として長年にわたり沖縄県のパイナップル産業を支えています。
 八重山では一般に、島パイン、ハワイ種と呼ばれていますが、6月下旬から7月の時期の完熟したものは絶品です。

※ 「JAおきなわ」では、2021年にこのハワイ種(N種)に「ジュワリーパイン」という新しい名称を付け(商標登録申請)、知名度向上やブランドの確立、消費拡大を目指しています。
 「ジュワリー」は豊富な果汁量と宝石(ジュエリー)のような果肉のイメージから名付けられました。

 
(2) ボゴール (スナックパインとも呼ばれます。)

 一般に「スナックパイン」と呼ばれる台湾原産の品種です。果肉を手でちぎって食べられるパイナップルです。お尻の部分をカットし、あとは節目にそって親指を入れ千切ると、一口サイズの 果肉が取れますので、この実の黄色い部分を食べます。

 果肉は糖度が高くて酸味が少なく、また、芯も比較的柔らかく甘いので食べられます。ただ葉や実に小さな棘(特に葉には鋭い棘)があるので取扱に注意してください。1玉0.7~1kg程度で、4~8月頃に出回ります。
 他のパイナップルとは、やや小型で上部の首の部分の形状が異なりますので、識別はしやすいかと思います。


※ 「JAおきなわ」では、2021年にこのボゴールに「ポコットパイン」という新しい名称を付け(商標登録申請)、知名度向上やブランドの確立、消費拡大を目指しています。
 「ポコット」は手でもぎ取って食べられるイメージを名前にしたそうです。
 
(3) ソフトタッチ (ピーチパイン・ミルクパインとも呼ばれます。)

 「スムース・カイエン」と「I-43-880」の交配から育成され、1999年(平成11年)に登録された品種です。果肉が白っぽくて甘い香りがすることから一般に「ピーチパイン」と呼ばれていますが、他にも「ソフトタッチ」「ミルクパイン」とも呼ばれます。果皮は未熟なときは黄色っぽく、熟すと全体が赤みがかってきます。
 乳白色の果肉は果汁量も多く、普通に国内に流通しているパインに比べて酸味が少なく、甘みがとても強いのが特徴です。夏実の糖度は17%前後、酸度は0.5%前後で、高糖低酸でモモに類似した香りがあり、食味に優れています。果肉が従来の品種に比べて特に柔らかいことから「ソフトタッチ」と命名されました。芯も柔らかく食べられます。
 サイズは1玉あたり0.6~0.8kg程度と小ぶりです。収穫時期は4~7月頃です。
 平成8年に初めて登録、公表された沖縄原産の新品種です。
 
(4) ゴールドバレル (沖縄8号)

 「クリームパイン」×「McGregor ST-1」の交配から育成され、2006年(平成18年)に品種登録されたパイナップルです。円筒形で、平均的な重さは1.4kgくらいあり、他の品種と比較し大きめです。大きいものは2.5kgにもなり、ボゴールやソフトタッチの1.5~3倍にもなります。
 成熟時の果皮は鮮やかな黄橙色で果肉は柔らかで、酸味が少なく糖度が高いため、甘味が強く感じられます。平均糖度は16度以上、酸度は0.5%前後で、バランスが良く、極めて美味な品種です。6月下旬~7月頃が収穫時期です。
 一般的なパインアップルは3~4年で2回収穫しますが、ゴールドバレルは3年で1回の収穫です。
 当然、他の品種と比較し収穫量が少なくなります。加えて、栽培は難しく、病気にも弱いのですが、極めて美味なため品種選抜過程で残ったそうです。(但し、冬実は高糖で高酸となり食味が劣り、生食にはあまり適しません。 )
 稀少かつ超美味な新品種ですが、価格も他のパイナップルとは格段に高価な品種です。
 
(5) クリームパイン

 栽培している農家があまりないこともあり、国内流通がほとんど無い希少品種です。地元でもなかなかお目にかかれません。
 普通のスムース・カイエン(ハワイ種)と同等の糖度でありながら、酸味は押さえ気味です。
 ソフトタッチに似た真っ白の果肉と、独特のバニラクリームのような甘い香りと味があり、さっぱりとした爽快感のある美味しいパイナップルです。優しい口当たりで、パイナップル特有の食味の刺激感もあまりありません。
 
(6) サマーゴールド

 「クリームパイン」と「McGregor ST-1」の交配から育成され、2004年(平成16年)に品種登録されたパイナップルです。
 果実の日持ちが比較的長い品種です。果肉が黄色く食味が良いことから「サマーゴールド」と命名されました。
 円筒形でサイズは1kgほどで、果汁が豊富で柔らかな果肉は甘味が強く、酸味は少なめで、食味のよいパイナップルです。ピーチパインとは違った香りがあり、酸味・甘みに気品があります。7月~8月頃がシーズンです。
 新品種のパインということもあり、栽培農家数が少なく、なかなか出回らないパイナップルです。
 
(7) ゴールドパイン (ゴールデン・黄金[クガニ]パイン・ティダパインとも呼ばれます。)

 デルモンテ社が独自に品種改良したもので、「スムース・カイエン」種に属する糖度の高く甘味の強いパイナップルです。果肉はオレンジ色に近い黄色をしていて、上品な香りがします。サイズは1~1.5kgくらいで他の品種より一回り大きくなります。「ゴールデンパイン」「黄金[クガニ]パイン」「ティダパイン」などとも呼ばれますが、正式名は「デルモンテ ゴールド パイナップル」です。石垣島では「黄金パイン」の愛称で出荷されているのが多いようです。
 ゴールドパインは果実を切った瞬間に心地よい甘い香りが漂い、またスムース・カイエンなどとは違った甘さの質、強さを楽しむ事ができます。
 通常のパインよりも手間暇かけて栽培されるゴールドパインは、石垣島でも栽培している農家はまだ少なく貴重なパインです。(石垣島では主に名蔵地区で生産されています。)
 
(8) ジュリオスター (沖縄10号)

 「ジュリオスター」は、1989年に県農業研究センターのパイナップル育成指定試験で「クリームパイン」と「N67-10」を交配し育成したもので、開発に20年の研究期間を費やし、平成21年(2009年)に品種登録されました。7月(July)に熟すので「ジュリオスター」と名付けられたそうです。
 早生で日持ちがよく、黒目病の発生率が5.3%と、20%を上回るボゴールやソフトタッチと比べてかなり低いなど果実病害が少ないことが特長。
 果肉は黄白色で、糖度と酸度がいずれもゴールドバレルより高く、果汁が豊富で甘酸っぱい爽やかな食味が楽しめる品種です。果形はたる形で、果実重は1.2kg前後となります。
 新品種である「ジュリオスター」の大きな強みは、多くの品種の収穫が終わる8月に出荷が可能なことにあります。今後、贈答用などの高級果実として期待されます。 現在ではまだまだ出荷量は僅かですが、今後が楽しみな品種です。
       
(9) ホワイトココ (沖農P19)

 「ホワイトココ」(品種名:沖農P19)は2000年から開発に取り組み始め、2021年2月に商標登録されたパインアップルで、農林水産省に品種登録を出願し、2021年12月に登録されました。
 「ホワイトココ」は、果肉が白く香りが高い「ゆがふ」と、桃に似た香りの「ソフトタッチ(ピーチパイン)」を掛け合わせて誕生しました。「ホワイトココ」も親の特徴を受け継ぎ果肉は白色で、ココナッツに似た香りを持つ事から、この名前が名づけられました。糖度が16%と高く、酸味が少ない事から食べやすいという点も特徴の一つです。
 2023年の時点では新品種でまだ生産者数も生産量もは少ないことから、価格もやや高めとなっています。
 なお、ブランド名「ホワイトココⓇ」を使用する際は、収穫時期や出荷規格を定めた「ホワイトココⓇ出荷ガイドライン」を守らなければならないことになっています。
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(10)
その他

ハニーブライト

 「スムース・カイエン」と「I-43-908」を交配して育成され、1999年(平成11年)に品種登録されたパイナップルです。無刺で栽培しやすく高糖低酸かつ多汁で良食味の中生品種。 果実は0.9kg前後で円筒形、果皮は橙黄色、果肉は黄橙色でやや硬く果汁量の多い品種。果肉が甘いことから「ハニーブライト」と命名されました。
 
(11) ゆがふ

 「クリームパイン」と「HI101」を交配して育成され、2004年(平成16年)に品種登録されたパイナップルです。果実は1kg前後で円錐形。果皮は黄色で、果肉は白色で柔らかく果汁量の多い品種。食味に優れ豊産性であることから「ゆがふ」と命名されました。
 
5.パイナップルを買う時の選び方
  ソフトタッチ・ボゴール・ゴールド
 パイナップルは、一般的なスムース・カイエンであれば、手にとったときの重みが約1~1.5kg前後が理想の重さと言われ(後述のソフトタッチやボゴールは小型種なのでこれより軽い)、おしりの部分に強い甘い香りがしたら、かなり熟している証拠ですので、そういったものを購入しましょう。
 逆に皮が黄緑や緑色の状態でも食べられないことはないですが(ソフトタッチの皮は黄色ではなく黒赤っぽくなります)、甘みが薄いのと、果肉が未熟のために消化不良を起こす可能性があるので、なるべく避けたほうがよいでしょう。

 一般的には、同一品種であれば、沖縄本島北部産のものよりも八重山産の方が、緯度が低く平均気温が高いこともあり甘く、かつ果実のサイズ・重量も大きくなります。
 美味しいパイナップルを選ぶ方法は、以下を参考にしてください。
 
美味しいパイナップルの選び方
 
(1) パイナップルは追熟しません
・ パイナップルは買ってきてからは追熟しないと思ってください。
  時間と共に黄色くなり柔らかく熟すように思われるかもしれませんが、糖度が上がるわけではありません。
  但し、酸味は和らぎます。従って、買う時点でしっかりと熟した果実を見つけてください。
 
(2) 色と形と香りをチェック
・ 葉の色が濃い緑で、葉先まで枯れずにピンとしているもの、また、長過ぎないものを選びます。
・ 全体的に丸みがあり、下のおしりの部分がどっしりとして太っているもの(胴が下膨れの形になっているもの)を選びます。
・ 色は赤みやオレンジ色や黄色の色味を帯びているものを選びます。
  胴の色が青々とし過ぎているものは未熟なものが多く、酸っぱい可能性が高いです。
・ 顔を近づけて香りをかぎ、甘い良い香りがするものを選びましょう。
 
(3) 手に持ってみる
・ 手に持った時に、ずっしりと重みを感じるものを選びます。
・ 次に、お尻を見て、カビが生え始めていないか見てください。古くなると、ここからカビが生え始めやすいのです。
  逆に、収穫したての物はお尻についている葉が緑色をしています。
・ 次に、少し優しく押してみて、柔らかくなり過ぎていないか確認してください。(強く押しすぎ、返って傷めないようにしてください。)
 
6.パイナップルの保存方法
 
 パイナップルは畑で熟したものを収穫しているのですぐに食べられます。前項で説明したように、パイナップルは追熟しないので、常温で保存しても甘味は増えず、逆に傷みやすくなるため、購入したら早めに食べる事をお勧めします。(酸味が強い場合は、しばらく置いておくことで酸味がやわらぐことがあります。)
 保存する場合は、新聞紙などで包み、冷暗所か冷蔵庫の野菜室に入れておけば2~3日は持ちます。
 また、パイナップルは
お尻の部分に甘味が溜まるので、葉の部分を下にして逆さまの状態で保存すると、甘味が全体に行き渡ると言われています。
 
 また、一度包丁を入れた物はぴったりとラップで包んで冷蔵庫に入れてください。冷凍する場合は、皮を全て切り落とし、一口サイズにカットした物をラップを引いたトレーに間隔をあけて並べ冷凍し、凍ってからジップロックなどに詰めて冷凍保存するとよいかと思います。この他にも、1/6~1/8サイズにカットした時点で、ラップに包んで冷凍保存する方法もあります。
  

7.パイナップルの食べ方・切り方

 

 パイナップルの切り方はいろいろありますが、ここでは代表的な方法を紹介します。

 ① まず、丸ごと水洗いして、ホコリや枯れ葉などを洗い流します。
 ② パイナップルはまず上の葉の部分をカットして、さらにお尻の部分も切り落とします。
 ③ 次に縦に1/6~1/8のサイズに切って、中心部の硬い芯をカットして取り除きます。
 ④ 最後に皮と果肉の間にナイフを入れて、食べやすいひと口サイズに切ります。

  
 [パイナップルの切り方の例示]

上部(葉)と下部を切り落とします。葉と実の棘に注意して下さい。 縦半分に切ります。 さらに1/3、または1/4に切り分けます。 芯の部分を切り落とします。(芯の扱いは後述) 皮から切り離します。切らずにスイカのように食べる方法もあります。 食べやすい大きさにカットします。
※ 葉の方から食べたほうが甘さが序々に増して美味しく感じます。
 
 ・ 1/8にしてその状態のまま割り箸にさすと、屋台でよく見かけるパイナップルになります。
 ・ この他にも、両端をカットした後、真ん中(横)でカットし皮の部分を切り落とし、1/6~1/8にカットし芯を落としひと口サイズにする方法もあります。
 ・ また、果肉を螺旋状に切り出すパイナップル・カッターを利用する方法もあります。
 ・ なお、パイナップルはお尻の部分のほうが甘味が強いので、頭のほう(上部)から食べていくと最後まで甘さをしっかり堪能できます。
 ・ パイナップルはブロメラインというタンパク質分解酵素を含んでいて、ゼラチンを分解するので、生のままではゼリー寄せなどには使えません。
   ゼラチンを使う場合は一度加熱してから使います。
 
8.パイナップルの栄養と効能
 
 パイナップルの主な栄養成分(可食部100g中)としては、マンガン(0.76mg)、ビタミンB1(0.08mg)、カリウム(150mg)があげられます。
 マンガンは骨や間接の形成やエネルギー生成などに働き、ビタミンB1は疲労回復に役立ちます。また、カリウムは高血圧予防や動脈硬化予防などに効果が期待できます。
 この他にもパイナップルに含まれるビタミンは、糖質の分解を助け、代謝を促すB1を多く含み、さらにB2やC、クエン酸などとの相乗効果により疲労回復や夏バテ、老化防止に効果があります。
 また、ビタミンCは抗ヒスタミン作用や気管支の筋肉の緊張をゆるめる作用をしますので、カゼをひいたり、のどがはれたり、気管支炎になってたんの切れが悪くなった時は、生のパイナップルが効果的です。

 また、パイナップルの果汁には「ブロメライン」というタンパク質分解酵素が含まれています。これは肉をやわらかくする効果があり、肉と一緒に食べることで消化を促進してくれます。(※但し、ブロメラインは加熱すると失われます。熱加工されたパインの缶詰では効果がありません。) なお、未熟な果実には針状結晶の「シュウ酸カルシウム」が多く含まれていて、食べ過ぎると消化不良や、舌がヒリヒリしたり、口の中が荒れることがあるので注意が必要です。

 更には、パイナップルには食物繊維がたっぷり含まれているので便秘予防に効果的です。
 そして、甘いにもかかわらずカロリーが低いのでダイエットにもオススメです。パイナップルのカロリーは151g(1/4カット可食部)で77kcal、100gで51kcalで、かつてはパイナップルダイエットというのも流行したほどです。
 
9.パイナップルの芯
 
 全てのパイナップルの芯が食用に適しているわけではありませんが、時期と品種によっては(ボゴールやソフトタッチなど)柔らかくそのままでも食べられるものがあります。食べられるかどうかの判断は、一度実際に芯をかじってみるのがいいかもしれません。

 新鮮な物ならそのまま食べやすい大きさにカットして食べます。適度な甘さがあり結構おいしいものです。
 硬い物や、鮮度が落ちた物など生食に適さないようなら、肉に漬け込んで肉を軟らかくするために使用するのもよいかと思います。芯にもたっぷり酵素が含まれていますので、そのまま絞って果汁に漬けるか、もしくはフードプロセッサーなどで細かく刻んだ芯に、肉を漬けると非常にが軟らかくなります。もしもその作業が面倒ならば鶏肉などの煮込み料理でパイナップルの芯をそのまま一緒に煮込んでも肉が柔らかくなります。

 また、芯には果肉の部分よりもさらに多くの機能性食物繊維が含まれているため、より一層便秘予防にも効果があるようです。さらに、芯にはブロムレンという抗炎症成分が含まれていて、傷や腫れを抑える効果があるそうです。このように、パイナップルの芯はそのまま捨ててしまうにはもったい物です。

 
 (資料引用) 沖縄県農業研究センターHP(沖縄県)、農林水産統計(農林水産省)
 

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