西表・富遊歩道(林道)散策  作成 2011.09.03 

1.大富遊歩道概要

 大富遊歩道(と言うよりも、「大富林道」と呼んだ方がなじみやすいという人の方が多いかもしれませんが・・・)は、かつて西表島縦断(横断)道路として開発着手された道でしたが、特別天然記念物「イリオモテヤマネコ」の発見を機に、工事は中断されました。
 現在、その中断された道路の一部が遊歩道として利用されています。 今日でもこの遊歩道を経由した西表島縦断(横断)の登山ルートは、最もポピュラーなコースとなっており、特に春から夏にかけては多くの登山家や、大学のワンダーフォーゲル部・登山サークルなどの利用もあり、よく整備されています。(遊歩道の途中に水源地があるということも、道路がよく整備されている理由の一つではありますが・・・)

 この遊歩道は、「西表島らしさ」を体感するのに最適で、数々の樹木や花が鑑賞でき、カンムリワシをはじめ多くの野鳥の声を聞きながら散策できます。また、遊歩道沿いの植物には、所々にその名前などの説明看板も設置されていますので、これを見ながら散策するのも良いでしょう。

 なお、大富遊歩道については、通常、大富集落西の遊歩道の起点(未舗装道路)から第2ゲートと呼ばれる浄水場まで車の乗り入れは可能です。しかしながら、レンタカーは遊歩道起点の未舗装道路から進入禁止となっています。

2.大富遊歩道周辺地図
3.遊歩道入口からの概略距離表
場 所 遊歩道入口からの距離(m)
遊歩道入口
第一ゲート 600
亜熱帯樹木展示林 1,200(1,100~1,200)
第二ゲート   1,350
仲間川展望台 3,400
仲間川中流船着場への接続路 3,450
ウブンドルのヤエヤマヤシ展望所 3,600
第三ゲート 3,700
 ※ 概略距離数であることをご承知おきください。
 ※ 茶色に着色した道路が大富遊歩道です。

4.主な見どころ

1. 亜熱帯樹木展示林 第二ゲート手前の遊歩道から下は、亜熱帯樹木展示林として貴重な西表島の植物を観察することのできる「自然観察路」が整備されています。珍しい野鳥に出会うこともあります。
2. 仲間川展望台 仲間川展望台からは、眼下に日本最大規模の面積を持つ仲間川流域のマングローブ林を一望することができます。緑の絨毯の中に大きく蛇行する仲間川が流れ、南方向の遠くには仲間川の河口や海も見えます。
3. ウブンドルのヤエヤマヤシ群落 ヤエヤマヤシは、八重山諸島だけに分布する一属一種のヤシで、植物相が熱帯的特徴をもっていることを示す植物の一つです。自生地は八重山諸島の中でも石垣島の米原と、西表島のウブンドルと星立の3ケ所に限られています。ウブンドルのヤエヤマヤシ群落は、石垣島の米原のヤエヤマヤシ群落についで100本以上のまとまった個体が見られる貴重な場所となっています。

5.遊歩道散策時の注意事項

夏場は相当気温が上昇します。熱中症防止のためにも、必ず水分補給のための飲料水(いくらか多めの水)を持参しましょう。
また、夏場は日焼け対策も十分行なうようにしましょう。サングラスも忘れないように!
途中でハブに出くわすこともありますので(特に春と秋のシーズン)、足元に十分注意しながら歩きましょう。
遊歩道の終点から縦断道路(山岳路)へと続きますが、入山の際には関係機関(森林事務所および警察)への届出と十分な準備を怠らないようにしましょう。
 

6.遊歩道の写真

西表自然休養林仲間川地区 大富遊歩道利用案内 西表島森林生態系保護地域案内図
【看板記載内容】
大富遊歩道を含む仲間川流域は、自然を保護しながら国民に健康・休養の場を提供する目的で、昭和53年度に西表自然休養林仲間川地区に指定されました。
周辺には、自然とふれ合いながら散策できる場として、亜熱帯樹木展示林、仲間川展望台、ヤエヤマヤシ展望所などを設置し自然学習や教育の場としても利用されています。
大富遊歩道の利用については、安全に利用していただくため以下の制限を設けているほか全線歩行者が優先ですのでご協力をお願いします。

第一ゲート 遊歩道入口
 ↑↓ 一般車両
第二ゲート 亜熱帯樹木展示林
 ↑↓ 許可車のみ
第三ゲート 仲間川展望台
 ↑↓ 緊急車両のみ
横断道登山口

林野庁 九州森林管理局 沖縄森林管理署

※ この案内は第一ゲート入口前に設置されています。
【看板記載内容】
国有林に入山される方へ
西表島の内陸部は国有林です。
島の中央部は、西表島の貴重な森林と動植物を守るため、西表島森林生態系保護地域として保護している区域です。
自然休養林の区域を越えて国有林に入林される方は、あらかじめ大原又は祖内の森林事務所で入林許可証の交付を受け、入林の際は下記の事項を守って下さい。
  記
1.タバコの吸殻等火気に注意し、ゴミは持ち帰ること
2.国有林野において木材の伐採、植物・土石の採取を行なわないこと
3.森林生態系保護地域においては動植物の保護、自然環境の保持に特に留意すること
4.特に、森林生態系保護地域の保存地区においては、学術研究等のため特に許可をした場合を除き狩猟、釣魚、動植物の採取、キャンプ及び既設の歩道以外の場所への立入等森林の生態系に影響を及ぼすおそれのある行為を行わないこと
沖縄森林管理署 大原森林事務所

※ この案内図は第一ゲート入口前に設置されています。

西表島国有林森林環境教育プログラム 道標(距離標)
【看板記載内容】
この大富地区西工区では農業後継者を支援するために農地開発事業を計画しましたが、この地区に貴重な動植物が生活・分布していることがわかり、事業計画を中止して現状のまま保存することになりました。
●この地区の歴史(大富地区西工区)
 昭和62年度:県営のうち開発事業計画を策定
 平成8年度 :環境影響調査を実施(貴重な動植物が生活・分布していることが判明)
 平成13年3月 工事を中止
●この地域の生き物
 ほ乳類:イリオモテヤマネコ、リュウキュウイノシシなど
 鳥類:カンムリワシ、リュウキュウキンバトなど
 は虫類:セマルハコガメ、キシノウエトカゲなど
 ※この地域の「大正池」には希少な生き物が生息している事から「日本の重要な湖沼500」(環境省)に指定されています
●注意地域に
 この生息・生育する動植物などを観察することを通して、西表島の森林生態系の大切さ、豊かさを理解していただくため観察ガイドの案内でご利用下さい
 林野庁 九州森林管理局 沖縄森林管理署
 西表森林環境保全ふれあいセンター

※ この看板は第一ゲート入口前に設置されています。
亜熱帯樹木展示林 0.6km
展望所         2.8km
終点          5.4km
沖縄森林管理署

※ この道標は第一ゲート入口前に設置されています。
※ 展望所とは「仲間川展望台」を意味しています。
※ 終点とは西表島縦断(横断)登山道入口を意味して
  います。

第一ゲート 遊歩道入口 浄水場
ここが第一ゲートで、遊歩道入口から約500m程度入り込んだ所にあります。
通常、このゲートは開放されています。
ここが第二ゲート手前にある浄水場で、西表東部地区の水道水をまかなっています。これは進行方向から後向きに撮影したもので、奥から手前に進んできています。

 
第二ゲート(1) 自然観察路入口
ここが第二ゲートで、第一ゲートからは約750mの位置にあります。通常このゲートは施錠されており一般車はこれより先に進むことはできません。バイクも同様です。
看板の左手側には自然観察路への小路があり、これを下っていくと亜熱帯樹木展示林に行くことができます。

  
第二ゲート(2) 遊歩道途中の景色(1)
第二ゲートに近づいた様子ですが、かなりしっかりとした構造で作られており、中央部には頑丈な鍵が取付けられています。また、両サイドにも進入禁止のための杭が設置されています。 第二ゲートからしばらくの間は、このような道が続きます。アップダウンはあまりなく割と楽に歩くことができます。

 
遊歩道途中の景色(2) 遊歩道途中の景色(3)
遊歩道は一部舗装箇所もありますが、大部分はこのような未舗装道路となっています。電柱は木柱です。 第二ゲートからしばらく進むと仲間川の支流にかかる小さな橋があります。その橋の上から下流側を眺めた景色です。
大きなヒカゲヘゴを見ることができます。

遊歩道途中の景色(4) 遊歩道途中の景色(5)
これは上流側ですが、川は橋の下で堰き止められて小さなダムになっています。写真の左手側にポンプ小屋があり、ここから取水し第二ゲート前の浄水場まで送水されています。また、遊歩道に沿って建てられている電柱もここまでとなっています。 遊歩道は明るく開けた場所もあればこのように両側から木々が生い茂り薄暗くなっている箇所もあります。

遊歩道途中の景色(6) セマルハコガメ
遊歩道はこのようによく整備されています。途中、道端に天然記念物のセマルハコガメがよく顔を出しています。見えづらいでしょうがこの写真の中央にも一匹写っています。
左の大きな葉の植物はクワズイモです。
セマルハコガメは、人や車の気配を感じると結構早足で茂みに隠れます。写真の中央にいるのが分かるでしょうか。

仲間川展望台前 仲間川展望台
第一ゲートから約2800m進むと、このように左手に看板の設置された場所に到着します。この左手に展望台があります。 これが仲間川展望台です。遊歩道を少し上った所から写したものです。展望台はスロープのついたコンクリート製・2F構造のしっかりしたもので、眼下に仲間川のマングローブ林を眺められるようになっています。

仲間川のマングローブ林(1) 仲間川のマングローブ林(2)
仲間川の河口方向(海側)の景色です。一面のマングローブ林を見渡すことができます。 少し西(右)側に目をやると仲間川の流れを見ることができます。

仲間川のマングローブ林(3) 仲間川のマングローブ林(4)
更に西(右)側に目をやると、もっと近くに仲間川の流れを見ることができます。川の流れは手前が上流側になります。川の両側にマングローブ林が発達していることがよくわかります。 展望台の下側で仲間川は大きく蛇行しています。川の右側が上流側になります。

仲間川のマングローブ林(5)
仲間川のマングローブ林は、日本のマングローブ林の4分の1にあたる160haという規模を誇っています。
仲間川展望台からは、この日本最大規模の雄大なマングローブ林を見渡すことができます。マングローブ林をせる展望台

 
仲間川のマングローブ林(6)
展望台の下側を航行する遊覧ボートです。遊覧ボートは、河口からサキシマスオウの巨樹のある「上流船着場」までの間で運航されています。
なおこの写真の下側には「中流船着場」があり、遊覧ボートを降りて山道を10分程度歩けばこの展望台を訪れることもできます。(但し、一般的にはツアー利用となります。)

中流船着場への降り口 ウブンドルのヤエヤマヤシ展望所
仲間川展望台からほんの僅か遊歩道を上った所に「中流船着場」に接続する歩道(山道)があります。ちょっと分かりづらいのですが、写真の中央・左側に標識が立てられています。距離は約400mで約10分の歩きとなります。 更に遊歩道を上っていくと、国指定天然記念物「ウブンドルのヤエヤマヤシ」群落の展望所があります。
【看板記載内容】
[科名]ヤシ科
[学名]Satakentia Liukiuensis H.E.Moore
[分布]原産地:沖縄 生育地:西表島、石垣島
[形態]常緑 高木
三木は単幹で、高さ15~20m、径20~30cmに達する。葉は羽状複葉で、長さ5mに達する。
ここの西表島の「ウブンドルのヤエヤマヤシ群落」と「星立天然保護区域」、石垣島の「米原ヤエヤマヤシ群落」は、国の指定天然記念物に指定されている。
林野庁 沖縄森林管理署

 
ウブンドルのヤエヤマヤシ(1) ウブンドルのヤエヤマヤシ(2)
谷(仲間川の支流)を挟んだ向かいの山に「ウブンドルのヤエヤマヤシ」があります。手前の高木はヒカゲヘゴです。 ヤエヤマヤシが100本以上ある大きな群生地です。
このヤエヤマヤシ群落のある所は、急斜面の亜熱帯林の中にあるため、容易にはたどり着けない場所となっています。

ウブンドルのヤエヤマヤシ(3) ウブンドルのヤエヤマヤシ(4)
向かいの山の様子を少し拡大したものですが、ヤエヤマヤシの群生状況がよく分かります。
今後も手つかずの状態で保存してもらいたいものです。

ヤエヤマヤシは石垣島と西表島に自生する固有種で、世界でも群落は珍しく、石垣島の米原と西表島・星立天然保護区域の3ヶ所だけに群落を見ることができます。


 
第三ゲート(1) 第三ゲート(2)
「ウブンドルのヤエヤマヤシ」群落展望所から、遊歩道を更に上っていくと第三ゲートがあります。 この第三ゲートも、第二ゲートと同様の構造でかつしっかり施錠されています。
今回はここまでの散策とし、来た道を引き返しました。

【参考写真】

中流船着場の看板 ミバエのトラップ
これが仲間川「中流船着場」です。以前、遊覧ボートに乗った際に写したものですが、ボートの揺れのせいかちょっと焦点が合っていません。ここから約400mほど山道を登ると仲間川展望台に行くことができます。ここには特定のツアーで下船することができます。 遊歩道の所々には、沖縄県農林水産部によるミバエの生息調査(根絶状況確認)のためのトラップが設置されています。

 
大富休憩所からの景色 大富休憩所
大富集落の北西部の農地(畑)の一番先端部(遊歩道入口の約200m西側)にある大富休憩所からの展望です。
見渡す限りのマングローブ林です。
大富休憩所は、地元の農家の人達の休憩所として作られたものだそうですが、手軽に仲間川のマングローブ林を見ることができます。但し、ここからは仲間川展望台のように蛇行した川面を見ることはできません。
 

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