大浜の豊年祭(ムラプール)2023  作成 2024.02.11

 2023年の石垣島の大浜集落の豊年祭(ムラプール)は、7月30日(日)の17時から20時半過ぎまでの間で、「崎原道路」において実に4年ぶりに開催されました。大浜は農業で栄え発展継承した村で、古くは鉄の農機具を求めて九州・坊津に船旅をした「ひるくまい」「幸地玉金」兄弟の生まれた村であり、1500年のオヤケアカハチ反乱の舞台の中心地でもあります。

 豊年祭は、今年の稔りに感謝し、来夏世(クナツユ)の五穀豊穣や住民の無病息災を祈願するものですが、一日目はオンプールと呼ばれ、各集落の御嶽に収穫物をお供えして舞踊などを奉納し、次の豊作を祈願するもので、二日目はムラプールと呼ばれ、奉納芸能などを中心とした神事(お祭りみたいなもの)となっています。(地区によっては一日だけのところもあります。)

 大浜集落の豊年祭は、午後2時、東崎浜の「カースンヤ―の願い(カースンヤー願い)」から始まります。ここには海に向かって5つの石が横に並んで設置されていますが、これは大石、大城、ヲノミチ、コルセ、崎原の集落内5御嶽の願所となっています。神司達はこの祈願石の前に集まり、東の海の彼方から神々を呼び寄せ、五穀の稔りに感謝し来夏の豊作と安全を願う「カースンヤーの願い」を行ないます。
 なお、この願所には、昔大浜に住んでいた兄弟が大和の国(鹿児島の坊津と言われています)に鉄の道具を買うために船を造り、この東崎浜から出航した際、ここで家族や親戚が航海の無事を祈ったという伝承があります。

 このカースンヤ―の願いの後はオーセ(番所)に場所を移して各種儀式が行われました。

 午後5時の開会式の後は、近隣の幼稚園、保育園、小学校、中学校から各種団体まで、住民総出の余興が披露されました。
 日が沈み、辺りが暗くなると松明が灯され、東西から板舞台に乗った武将が鎌と槍を手に繰り広げられる勇壮なツナヌミンが演じられ、その後は郡内最大規模と言われる大綱引きが行われました。

今回は「カースンヤ―の願い」の見学には参列しなかったためその写真はありません。現地に到着したのが16時半過ぎでしたので、ここではそれ以降の豊年祭の様子を紹介します。
なお、「カースンヤ―の願い」については、2018年の豊年祭を参照ください。

【ムラプールの概要】

 大浜の豊年祭は概ね以下のような流れで進められます。

1. カースンヤ―の願い  14:00
2. 旗頭おこし(公民館)   15:00
3. 奉納・・・オーセ(番所)旗頭・イリク太鼓・弥勒・夜雨節奉納   16:00
4. ユーニガイ(アガリ節)   16:30
5. 開会式  17:00
6. 余興  17:30〜
7. ガーリー、ツナヌミン  19:30
8. 大綱引き  20:00

最初から見学されるのであれば、「カースンヤー願い」の始まる14時前までには東崎浜(崎原公園の東の浜)に到着されていることをお勧めします。
カースンヤー願いから16時頃から始まる御嶽奉納までは1時間半程度の時間が空きます。
17時頃から崎原道路でのパレードが始まり、日没に合わせてツナヌミン・大綱引きが始まります。
綱引きは綱の位置合わせに30分程度かかり、また勝負の決着には通常10分以上かかるため、豊年祭の終了時刻は20時半頃から21時近くとなります。(年によって多少異なります。)
ツナヌミンの最中は全ての街路灯が消され、またフラッシュ撮影も禁止されますので注意して下さい。
会場付近の大浜小学校校庭に臨時の駐車場が設けられますが、スペースは限られます。極力、公共交通機関等を利用されることをお勧めします。 
   

大浜の豊年祭(ムラプール)2023の様子

2023年は22団体約830人が参加し盛大に執り行われました。
私は会場に16時半過ぎに到着しましたので、ここではそれ以降の豊年祭の様子を紹介します。

オーセ御嶽の前ならびに崎原道路で4年ぶりに通常開催されました。 これは大浜婦人会による巻踊り(与那覇節、黒島節)の奉納が行われているところです。
弥勒節の奉納が終わり、ミロク様は一旦退場されます。  

旗頭が西から次々と進んできます。 旗頭はオーセ前に集まります。
オーセ前に9本の旗頭が立てられました。

ここから9基の旗頭が一斉に奉納される「旗頭の舞」です。
     
オヤケアカハチの像が見えます。右のテントは司会席です。

オーセー前の崎原道路で、神司と公民館役員が東に向かって世乞いの「東(アガリ)節」を歌います。
神司は手招きして世果報を呼び寄せます。

「大浜公民館副館長」の開会のことばです。
時刻は17時頃です。
  実行委員長である「大浜公民館館長」の挨拶
 
石垣市長の来賓祝辞(代読)     
 
確か「沖縄県農林水産部八重山農林水産振興センター所長」の来賓祝辞   確か「JAおきなわ八重山地区本部・本部長」の来賓祝辞
 
「石垣島製糖且ミ長」の乾杯の音頭  

ここからは余興となります。
最初は大浜の旗頭2本の奉納が行われます。崎原道路を西から東に進みます。 時刻は17時半頃です。
旗頭奉納です。こちらは「上の村」(ウイヌムラ)の旗頭の「松竹梅」。旗文字は「豊穣」です。 もう一方の「下の村」(シィムヌムラ)の旗頭は「旭」。旗文字は「瑞雲」です。

続いては、イリク太鼓。大浜中学校の1〜2年生男子が演じます。 イリク太鼓は、鉦2人、締太鼓10数人による太鼓踊りで、八重山で広く伝承されているものです。

弥勒(ミルク)行列です。
大浜小学校1年生の女児がお供をしています。
ミルク様からの祝福を受けます。女児にとっては一生に一度の(最初で最後の)ミルク様との共演です。

大浜婦人会による与那覇節、黒島節。
衣装も綺麗です。

ここからは旗頭の舞です。(旗文字を記載) 9本の旗頭の舞は、壮観です。

東京大浜郷友会の「越鳥南枝」 大浜青年会の「報恩謝徳」 JAおきなわ「瑞雲慈雨」

石垣島製糖鰍フ「蔗穂」 大浜地域高校生「万国雄飛」 大浜中学校の「自主 協同 進取」
大浜小学校の「親まさり」 大浜東村の「瑞雲と西村の「豊穣」

多くの旗頭が並ぶと荘厳さを感じます。
    この頃、東の空には虹が出てました。
 

ここからは各団体のパレードとなります。

三分会
     

おおはまこども園
     

大浜小学校(高学年)
  ここからは低学年
 

認定こども園 なごみの広場

大浜中学校・郷土芸能部

ひまわりっこ保育園
 

四分会

竹の子の森保育園

大浜青年会

三高校 

一分会

スポーツ少年団・アカハチ

長浜研究所・子ども三線教室

国際農林水産業研究センター(熱研)

JAおきなわ八重山地区本部

黒石八重山舞踊研究所
     

二分会

次第に暗くなってきました。 全ての旗頭の先のトゥールーが点灯されます。
そして、旗頭のガーリーが始まります。

ここからはツナヌミンが演じられます。

周りの照明が消されて松明だけが灯される幻想的な雰囲気の中でツナヌミンが始まります。 それぞれの村の旗頭が板舞台を先導します。
東からは槍を持った「下の村」の武者の登場です。

西からは鎌を持った「上の村」の武者の登場です。 いよいよ戦いの始まりです。
勇壮な武者の戦いは傍で見ると結構迫力があります。観客は指笛を鳴らし、場を盛り上げます。
早い動きがあるものの松明の明かりだけで演じられることもあり実に幻想的です。
ここのツナヌミンでは、フラッシュが禁止されているため写真はノイズが多くなり見づらいかと思います。

ここから大綱引きです。

ツナヌミンの後はフィナーレの大綱引きです。上の村(ウンター、西側)と下の村(スムンター、東側)に分かれて勝負します。
これは雄綱と 雌綱を結び合わせるところです。
  上の村の67mの綱に下の村の63mの綱が結ばれ、全長約130mとなった大綱は、郡内で最大規模とされています。
     
雄綱と雌綱を結び終えました。  
いよいよ熱戦のスタートです。大綱引きには制限時間がなく、平均で9分、年によっては20分を越えることもあるそうです。
それぞれの村の応援代表は綱の結び目の上に乗って応援します。これは下の村が引いている様子です。
2023年の大綱引きでは下の村の縄が切れ、16秒で4年前に続いて上の村が勝利(2連覇)しました。
上村が勝てば豊作と伝えられています。
 
 
勝負のついたところで、時刻は20時半です。この後、閉会式が行われ豊年祭が終了しました。  



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