マリゥドゥ・カンピレーの滝 トレッキング  作成 2009.11.22

1.概要
 マリゥドゥの滝・カンピレーの滝は、沖縄県で最長の川である西表島西部の浦内川(11本の支流を含め全長約39km、主流長約18km)の上流域にある滝です。
 河口近くの遊覧船乗場から中流の軍艦岩(船着場:遊覧船乗場から8km上流)まで遊覧ボートでジャングルクルーズ(緩やかに流れる川面、川岸のマングローブ林、亜熱帯の動植物等の観察)をしながら遡り、そこから滝までトレッキングを行います。 亜熱帯のジャングルを歩き、各種の植生を観察したり森林浴をするには、とてもよいコースかと思います。
 現在では、軍艦岩から西表島最大の滝マリゥドゥの滝・カンピレーの滝までは遊歩道(西表国立公園 浦内川自然研究路)が整備されており、子供でも行きやすいコースとなっています。 トレッキングは、マリゥドゥの滝を展望台から眺め(現在は滝のそばまで行くことはできません)、カンピレーの滝の川原で休憩後、往路と逆コースで軍艦岩まで歩いて戻り、遊覧ボートで元の遊覧船乗場まで戻るというのが一般的なコースです。
 トレッキングに要する時間は、この2つの滝を見て帰ってくるだけなら約3時間が必要で、カンピレーの滝でゆっくり遊んで帰ってくるならそれ以上の時間を見込んでおく必要があります。
(1) マリゥドゥの滝
 西表島を代表する大きな滝で、「日本の滝100選」にも選ばれている滝です。
 「マリゥドゥ」とは地元の言葉で「丸い淀み」の意味です。軍艦岩からの遊歩道の途中(右側上部)に展望台があり、軍艦岩から遊歩道を歩いて約30分程(約1.5キロ)のところに位置します。
 ここから落差16m・幅20m(3段)の壮大な滝と、直径約130mの巨大な滝つぼを鑑賞することができます。以前は滝を間近で見ることができたのですが、何人も足を滑らせ滝に落ちる事故が続いたため、現在では通行止めになっています。
(2) カンピレーの滝
 「マリゥドゥの滝の展望台」から更に上流側(奥へ700m)に約15分程度歩いたところに位置します。
 長さ約200mにわたって小さな滝が何段も続き、豊かな水がなだらかな斜面の岩肌を舐めるように流れている姿は実に雄大です。「カンピレー」とは、カン=「神」、ピレー=「座る」、という意味で、昔、神々がこの地に集ったといわれる西表島の中でも第一級の聖地として大切にされています。
 滝周辺は、特に夏の水遊びには格好の場所です。また、ここの川床は柔らかい砂岩のため、くぼみにたまった石が水の流れによって回り、丸い円柱状の穴が空いた「ポットホール」という現象がたくさん見られます。そこでは、小さな魚や川エビが観察できます。
2.トレッキングルート等
 (1)地図 
(2) 遊覧船乗場まで
 浦内川の遊覧船乗場までは、石垣島からなら西表島・上原港まで行き、各船に接続された送迎バスまたは西表島交通路線バスを利用し「浦内川」停留所で降りるか、レンタカーであれば遊覧船乗場手前の駐車場に駐車してください。タクシーを利用する方法もありますが、台数が少ないため希望どおりにならない場合もありますので注意してください。
 もしも西表島に宿泊されておられれば、宿の方に浦内川まで送って頂けるかもしれません。(交渉次第ですが・・・)
(3) 遊覧船乗場まで遊覧ボートの定期運行時刻(出発時間)
・遊覧ボートの定期運行時刻(出発時間)は、  9:00/9:30/10:30/11:30/12:00/12:30/14:00 です。
・なお、人数が集まれば臨時便を出してもらえますし、一艘チャーターすることもできます。
・天候により船が出航しない可能性があります。
・出発時間の5分〜10分前までに船乗り場の受付にてチケットを購入して下さい。
・14:00出発については上流で約1時間30分しかとれないので注意して下さい。
・チケット売場で荷物を預かってもらうことができます。
(4) 遊覧ボート料金
 遊覧ボート料金は、大人1800円、小人900円です。(滝まで行かず軍艦岩までの往復ジャングルクルーズも同一料金です。)
 なお、西表島路線バス(1 or 3Day Free Pass)を提示すると10%OFFになります。
 詳細は、(資)浦内川観光(Tel:0980-85-6154)のHP http://www.urauchigawa.com/ を参照ください。
(5) 遊歩道
 遊歩道はよく整備されていますので、まず、迷うことはありません。所々には案内表示もありますので、それを頼りにするのもよいでしょう。遊歩道は、最初のうちは石が敷き詰めてあり歩きやすいのですが、途中から自然道になります。
(6) 所要時間
 所要時間については、概ね以下のように把握しておくとよいでしょう。
浦内川河口近くの船乗り場 軍艦岩(船着場) 約30分
軍艦岩(船着場) マリゥドゥの滝展望台 約30分
マリゥドゥの滝展望台 カンピレーの滝 約15分
カンピレーの滝 軍艦岩(船着場) 約40分
(休憩)
軍艦岩(船着場) 船乗り場 約30分
 単純計算では2時間30分程度(トレッキング時間は1時間30分程度)となりますが、カンピレーの滝での休憩を考えると所要時間は3時間をみておくのが望ましいでしょう。

3.トレッキング時の注意事項

遊歩道は舗装されてはいませんが、それなりに整備されているため、案外歩きやすいかと思います。 とは言うものの、山道で道幅は約1m弱で、かつ滑りやすい箇所(特にカンピレーの滝付近)もあるため、スポーツシューズ・トレッキングシューズなど運動用の靴がお勧めです(サンダルやヒールは好ましくありません)。 また、履き慣れた靴で歩くことをお勧めします。
(雨天時には、券売所で長靴が借りられるようです。)
トイレは遊覧ボートに乗る前に遊覧船乗場で済ませておくことをお勧めします。トレッキングコースへ行くと、軍艦岩の先にもトイレはありますが、水洗ではありませんし、それ以外の場所にはトイレがありません。
夏場に限らず、必ずペットボトル等を持参し、随時水分補給ができるようにしてください。
遊覧船乗場には自動販売機が設置されていますが、トレッキングルートの途中で飲料水を購入する施設はありません。
軍艦岩に着くと、船長さんから戻ってくる(集合する)時刻を告げられますので、その時刻を守ってください。
滝でゆっくりしたい方は、軍艦岩に着いた時に船長さんに戻ってくる時刻を相談してください。
また、ここでは下船した人と乗船した人の数をチェックされますので、そのつもりでいてください。(遭難者がいないかどうかのチェックをされています。)

遊歩道の路肩が急な坂になっている場所では、特に注意をはらって歩きましょう。

行き交う方とはお互いに道を譲り合うとともに、挨拶を交わすようにしましょう。
トレッキングコース(遊歩道)では携帯電話は通じません(圏外)。遊歩道で連絡をとるには衛星電話が必要です。
4.トレッキング記録 
船乗場手前のレストラン 浦内川遊覧船乗場の看板 「イリオモテヤマネコとの共生」を記した看板
船乗場の目印となる赤い屋根のレストランです。これは浦内川の橋側からの写真ですので、上原側から来ると左手になります。 浦内川橋の手前にあります。 西表島だけに生息する野生ネコである「イリオモテヤマネコ」の絶滅を危惧し、その生態などについて記した看板です。
国指定西表鳥獣保護区区域図 船乗場への道と駐車場 定時便時刻表
特別保護区について示した地図です。 真っ直ぐ進むと遊覧船乗場に辿りつきます。左側が駐車場となっています。 船乗場までの途中に時刻表が掲示されています。
船乗場入り口 船乗場1 船乗場2
この坂道を下り左手に船乗チケット売場があります。 浦内川橋から見た遊覧船乗場です。 遊覧ボート用の浮き桟橋です。この建物内でチケットを購入します。
船乗場3 浦内川橋 遊覧ボート内
左の写真の少し下流側の景色です。 浦内川から見た浦内川橋です。赤白のツートンカラーが川面によく映えます。 右手前方の船長が浦内川流域の植生等について説明しながら船を進めていきます。
マングローブ林1 ヤエヤマヒルギ シダ類
乗船して暫くの間は、川の両岸にマングローブ林を見ることができます。 マングローブ林を構成する代表的なヒルギの一つです。 少し上流に上るとマングローブの代わりにシダ類が見られるようになります。
航跡 サキシマスオウノキ シダ類
川が蛇行していることもあり、航跡もこのようになります。 軍艦岩までのほぼ中間地点に、板根の発達したサキシマスオウノキを見ることができます。 更に上流に上ると多くのシダが見られるようになります。
遊覧ボート ヒカゲヘゴ 上流船着場近く
団体観光客の乗った遊覧ボートが後を追いかけてきました。 約3億6000年前から存在しているとされる日本で最大のシダ植物で、生きた化石と呼ばれています。 遊覧ボートで進むことができる最上流域近くまで来ました。ちょっと分かりづらいのですが、右手奥側の岩が「雨乞い岩」です。
軍艦岩1 軍艦岩2 軍艦岩3
船着場である軍艦岩が見えてきました。 浮き桟橋が設置されています。ここからトレッキングのスタートです。 遊覧ボートを降りて振り返って見たところです。

 

軍艦岩上流部 遊歩道1 遊歩道2
軍艦岩から少し歩いた所から浦内川の上流部を眺めた風景です。川床には大きな岩がごろごろしています。 船を降りてから間もない場所の光景です。この時は総勢10名程度で滝に向かいました。 少し行くと階段状の石積みと掲示板・ベンチのある場所の横を通過します。
遊歩道3 遊歩道4 遊歩道5
左の場所を過ぎて暫くの間は、このような石組みでしっかりと整備された遊歩道を歩きます。 暫くすると石組みの道から自然道(路面が土の山道)に変わります。雨が降るとぬかるみますので足元に注意が必要です。 このように倒木が道を塞いでる箇所もあります。
遊歩道6 遊歩道7 遊歩道8
また、このように生きた樹木の根が道の上部を塞いでいる箇所もあります。 緑豊かなジャングルの中を遊歩道は続きます。 シダが鬱蒼と茂る場所もあります。
遊歩道9 遊歩道10 遊歩道11
軍艦岩の船着場から約30分で、マリゥドゥの滝の展望台への案内標識が見えてきます。 展望台へは右手側にある階段を上ります。距離は30m。 この階段を上ります。この展望台まで行って戻ってくる観光客も結構いるようです。

 

マリゥドゥの滝1 マリゥドゥの滝2
マリゥドゥの滝は、落差16m、幅20m、3段になって落ちる美しい滝で、日本の滝100選にも数えられています。 これは、かつて滝のすぐそばまで行けた時に撮影したマリゥドゥの滝の近影です。滑落事故が続いたため、現在では近づくことができず、このような姿を見ることはできません。
マリゥドゥの滝説明看板 遊歩道12 遊歩道13
展望台の横にあります。名前の由来等について記されています。 展望台を下りてカンピレーの滝へと繋がる遊歩道です。 少しアップタ゜ウンのある遊歩道です。シダも数多く生えています。
小さな滝 マリゥドゥの滝への下り口1 マリゥドゥの滝への下り口2
途中には名も無い小さな滝がいくつもあります。マイナスイオンいっぱいです。 マリゥドゥの滝の展望台から約10分程度のところに、マリゥドゥの滝への下り口があります。 見づらいのですが右にはマリゥドゥの滝に下りる階段があります。転落事故が多発したため、現在はロープが張られ立入り禁止となっています。
カンピレーの滝の案内看板1 カンピレーの滝の案内看板2 珍しい動物たちの看板
マリゥドゥの滝への下り口のそばにある案内看板です。 更に進むと、「軍艦岩1.9km,カンピラ滝0.2km」と記された案内看板があります。ここではカンピレーではなくカンピラと記されています。 カンムリワシ、イリオモテヤマネコ、セマルハコガメが描かれた看板です。
遊歩道14 カンピレーの滝手前の広場 休憩所
この辺りの遊歩道は少しアップダウンがありますが歩きやすいです。 遊歩道もこの先までで、中央部の少し明るいところがカンピレーの滝の入口となっています。マリゥドゥの滝からここまで約5分かかります。 カンピレーの滝の手前にある東屋で、ベンチが設置されています。
イリオモテヤマネコの説明看板 西表登山歩道ルート略図 登山道入口の看板
イリオモテヤマネコの生態等について記した看板です。現在では、西表島全体で100頭しか生存していないのではないかと言われています。この周辺では時折、糞を目撃することがあるそうです。 西表横断ルートについての略図が記されています。西部の軍艦岩から、東部の古見と大富までの2つのルートが描かれています。なお横断する際には関係機関への届出が必要です。 西表登山歩道(横断ルート)を歩く際の注意事項を記した看板ですが、かなり表示が薄くなって見づらくなっています。
カンビレーの滝1(上流部) カンビレーの滝2(下流部)

カンビレーの滝は、マリゥドゥの滝の展望台から約15分のところに位置しています。
ゆるやかな段差がついた美しい滝で、滝のすぐそばまで行くことができます。
カンビレーとは、島の方言で「神々が座する場所」という意味だそうです。

岩の表面はかなり滑りやすいため、転ばないように注意しましょう。

カンビレーの滝3 カンビレーの滝4 カンビレーの滝5
上流側に少し上ったところからの写真です。この日はかなりの水量がありました。 更に上流側に少し上ったところからの風景です。 逆に滝の下流側の景色です。
ポットホール1 ポットホール2 ポットホール3
川原では、岩が削られて水溜りのようになったポットホールを数多く見ることができます。 なかには大きなポットホールもあります。 ポットホールの中には小さな魚や川エビがいるものもあります。
    

 Page Topへ戻る   八重山の登山・トレッキング に戻る   ちょっとDeepな旅スポット に戻る   HOME へ戻る


Copyright (c) 2008.8 yaeyama-zephyr

写真の無断転載・使用を禁じます。利用等をご希望される場合はメールでご連絡下さい。