八重山諸島の西表島だけに生息するネコ科の動物で、1967年、オスメス各1体が生け捕られ、同年には国立科学博物館動物部長によって新属新種として命名、学会に発表されました。 当時、野生ネコの新種(当時)が発見されるのは70年ぶりのことであり、20世紀最大の生物学的発見とまで言われました。 1972年に国の天然記念物に、1977年に国の特別記念物に指定されました。
イリオモテヤマネコは、半夜行性で、主に沿岸部周辺の比較的標高の低い地域に生息しており、湿地や川辺を好みます。地上で暮らすものの木登りや泳ぎは巧みとされています。 餌は、ネズミ・トカゲ・ヘビ・カエルといった小動物や、エビ・カニといった甲殻類、昆虫類などを捕食しています。 |
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2005年から3ケ年をかけて行なわれた調査では、生息数は凡そ100個体で、減少傾向にあるとの推定結果が出されました。 その要因としては、交通事故や好適な生息環境の減少が挙げられています。
なお、環境省西表野生生物保護センターによると、1978年以降、交通事故が原因とみられる死亡個体数は、2010年2月現在で48頭目となっているそうです。
イリオモテヤマネコの輪禍被害が多い時期は次のとおりです。
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冬場(特に11月から2月にかけての時期)は、繁殖期を迎えることから、発情期のオスの活動が活発になって道路に飛び出してくるケースや、子ネコが親離れする時期のため、親から独立した子ネコが行動し始め、道路に飛び出してくるケースが多くなります。 イリオモテヤマネコの輪禍被害のうち、約半数がこの時期に犠牲になっています。 |
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次は夏場ですが、この時期は、ヤマネコの子育ての時期に当たり、えさを探している成獣のメスなどが事故に遭いやすくなります。
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また、時間帯であれば夜間、天候については雨上がりの事故発生が増える傾向にあるようです。
夜間については、イリオモテヤマネコが夜行性の動物であるために理解しやすいかと思いますが、雨上がりについては、カンムリワシと同様、道路には車に轢かれた蛇や蛙・鳥など餌となる小動物を求めて、道路上でそれを夢中になって食べていて、そこに車が突っ込んで逃げることが出来ず、事故に合うようです。
このため、西表野生生物保護センター(IWCC)や環境省西表自然保護官事務所では、運転の際、「特に夜間はスピードを控えめにし、野生動物の飛び出しに十分注意してほしい」と呼びかけています。 また、交通事故の多い冬場や夏場においては、毎年のように「イリオモテヤマネコの交通安全キャンペーン」を展開して、ドライバーに注意を呼び掛けています。
また、西表自然保護官事務所では、「ヤマネコの交通事故を完全に事故をなくすことは難しい。時速40キロでもひいてしまうことがある」としたうえで、「ヤマネコの事故を起こしてしまった人から連絡があると、ヤマネコが生きていれば救助できるし、事故の状況も分かる。」として事故を起こしてしまった場合の情報提供を呼び掛けています。
これは、イリオモテヤマネコの交通事故では、事故当時の状況が分からないことが多く、事故原因の究明や事故防止対策を講じるのは容易ではないからだそうです。
事故は不幸なことですが、そこから教訓を学ぶことができれば、事故防止に役立てることができるかもしれません。
イリオモテヤマネコの目撃や、衝突したり、死体発見などの情報は、以下の環境省野生生物保護センターまで連絡してください。
365日24時間で対応しています。
当事者による通報は迅速な回収と今後の事故対策上「極めて重要」として、「万一の場合は協力を」と呼びかけています。
環境省西表野生生物保護センター |
沖縄県八重山郡 竹富町字古見 |
0980-85-5581 |
[参考] イリオモテヤマネコ保護のための各種道路標識(注意標識)
安全運転宣言カード |
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西表野生生物保護センター(IWCC:Iriomote Wildlife Conservation Center.)では、西表島に生息する貴重な野生生物の保護活動を行なっています。
これは、西表島でレンタカーを借りた際に、安全運転で道路を走行することを誓い、西表野生生物保護基金に寄付した時に頂いたカードです。ヤマネコの足跡が認定マークとなっています。 |
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