八重山にある空港に関するウンチク・情報について紹介します。 1.新石垣空港建設の概要 3.与那国空港における防空識別圏問題について 4.各空港の概要について 八重山の空の玄関口、新石垣空港(「南ぬ島 石垣空港」:ぱいぬしま いしがきくうこう)は、2013年3月7日に開港しました。新石垣空港は、石垣市中心部より北東方向へ約14kmの所に位置しており、八重山の観光ならびに農水産業等、物流の拠点となっています。第3種空港としては一日に70便を超える全国で最も離着陸頻度の高い空港ともなっています。 旧石垣空港は1,500mの滑走路長を有する空港でしたが、通常、ボーイング737型機 が離着陸するためには、2,000mの長さ(最低でも1800m)が必要なのですが、空港の拡張については、南側は市街地化が進み道路・住宅等に対して大規模な移転補償が伴うこと、北側には国指定の「フルスト原遺跡(*1)」があること、また現空港周辺は、航空機騒音による住環境が悪化していること、等により事実上、南北側いずれの方向にも滑走路延長ができず、1,500mのままで運用されていました。
しかし増加する観光客、貨物を安定的に輸送するためには、現在地での滑走路延長が困難なため、今から30年以上も前の1979年に、新たな場所での新空港建設の話が持ち上がりました。 それは、「新空港を白保地区沖合のサンゴ礁を埋め立てて建設する」、という案(白保埋立案)でしたが、そこには世界最大級のアオサンゴ群落が存在するということもあって、自然保護団体等からの反対運動を受け暗礁に乗り上げてしまいました。 旧石垣空港を離着陸する際には、通常の空港とは違ったスリリングな感触を味わうことができました。 次に離陸についてですが、旧石垣空港からは、乗客を乗せ、貨物を積み、規定燃料を搭載して、東京などの遠距離に向けて離陸することはできませんでした。 東京のような遠距離となると多量の燃料積載を必要とするのですが、燃料満載では離陸滑走距離が足りず、離陸できませんでした。 このため、例えば、石垣発東京行きの便は、一旦宮古島または那覇に着陸(寄港)し、ここで必要な燃料を積載し再度離陸して目的地まで飛ぶということをしていました。 宮古や那覇空港の滑走路は2,000m以上の長さがあって離陸時の制限がないため、ここで燃料補給(満載)をして再度飛び立っていたわけです。 (逆は燃料消費して機体重量も軽くなってから着陸するので、支障ありませんでした。) 燃料補給の際、乗客は全員手荷物を持って一旦機外に出なければならず、これが結構面倒でした。 また、旧石垣空港の離陸は、国内でも唯一の完全なスタンディング・テイクオフが、毎回行われていました。飛行機は、誘導路が無いため着陸の合間を縫ってスポットから滑走路上をタキシングして滑走路端まで行き、そこでくるりと回って向きを変え、滑走路に正対します。 日本最西端の島、与那国島は言うまでも無く日本の領土であって、石垣島の北側にある尖閣諸島と異なり、何らの領土問題(紛争)は存在していません。しかしながら、与那国島の上空は日本の領空(*1)であるものの、東経123度線が縦断する島の東側1/3は日本、西側2/3は台湾の防空識別圏(ADIZ(*2))となっているのが実情です。 これは、アメリカ空軍が沖縄占領時に設定していた防空識別圏を、本土復帰(返還)後もそのまま継承した結果なのですが、これにより、島の西側2/3の上空は、「日本の領空であるものの日本の防空識別圏ではない」という状態になっています。
さて、石垣や那覇空港等から離陸し、与那国空港に着陸する旅客機は、与那国島の北を通って一旦東経123度線の西側に出ます。この段階で、旅客機は台湾の防空識別圏に進入しているわけです。そして、島の西側で進路を180度変え、東向きに更に高度を下げて滑走路へ着陸します。また離陸は、滑走路の西端から東向きに滑走が行われます。つまり、与那国空港における離着陸は、原則として東向きに行われることとなっています。 このように島の西側2/3が台湾の防空識別圏(ADIZ)である関係から、与那国空港での航空機の離着陸経路は非常に厳しい制限を受けることとなっており、気象条件や航空機自体により異常が発生し、万一航空事故が発生した場合を想定すると、迅速な救難・救助活動を行なうことが困難となる懸念があります。 また、そうした場合ばかりでなく、たとえば与那国空港へ向かう日本の民間機が、事前にフライトプランを台湾側に提出しておかないと、与那国島に近づいた途端に未確認飛行物体として空軍機にスクランブル発進されかねません。 加えて、海上自衛隊の航空哨戒任務や航空自衛隊の航空機は、通常は与那国島上空より西側へ出ることは無いのですが、島の西側を目視で哨戒する事ができないため、防衛上の懸案ともされています。 特に、もしも台湾有事においては防衛上の重要な問題となる可能性が高いと言わざるをえません。 その他、与那国空港の特徴としては、管制通信官は配置されておらず、那覇にある沖縄航空交通管制部による遠隔管制に頼っています。 特に、与那国空港の特殊な地理的条件(空港の北側が海で、南側に山が連なっていることから、南風による強い乱気流が発生する)を考慮するならば、最低限、管制通信官の配置は、安全確保の面からは必須の条件かと考えます。
@新空港の概要 【参考】 旧空港の概要
【参考】 旧空港における本土直行便の寄港地 (旧石垣空港発便)
A空港の歴史
@空港の概要
A空港の歴史
@空港の概要
A空港の歴史
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