旅の心得  作成 2009.2.22 

 八重山の島々を訪れた際に、観光客が島の古くからの慣習・暗黙のルール等について無知であるが故に、島民の方とトラブルを起こしたり、表立ったトラブルにならなくても島民の方に気まずい思いをさせたりすることがままあります。
 「碧い海、青い空、豊かな自然、暖かい島の人情」に感動したいというのが大方の観光客でしょうが、この無知によるトラブルを避けるためにも、島へ旅する時、過ごす時に知っておいた方がよいことを、ここに載せておきます。

1.水は大切に

 八重山諸島で川があるのは、大きな島である石垣島、西表島、与那国島に限られています。他の離島には川はありません。
 今では、八重山のどの離島も水不足で苦労するということはなくなりましたが、石垣島・西表島・与那国島を除いた離島は、雨を受け止める面積が少なく、また、珊瑚の隆起した島などであるため保水力がなく、今から約30年前までは深刻な水不足で悩んだこともしばしばありました。

 その昔、離島では、雨水を蓄える貯水池を作ったり、井戸から地下水を汲み上げたり、屋根に降った水を樋などを使って集めタンクに溜めたりしていました。時には夜露を集めるということもしていました。どの島も知恵を絞り、手間ひまかけて水を確保しててきた歴史を持っているのです。

 水不足が解消できたのは、波照間島を除き、石垣島ならびに西表島を水源とした海底送水設備が整備されたからです。波照間島は西表島から遠距離であるため、海底送水設備を設けるにはあまりにコストがかかりすぎることから、簡易水道淡水化施設(逆浸透法かん水淡水化施設)が設置されました。
 主要な離島の海底送水施設は、黒島が1975(S50)年、竹富島が1976(S51)年、小浜島が1979(S54)年、鳩間島が1980(S55)年で、また、波照間島の簡易水道淡水化施設は1989(H元)年に完成しましたが、いずれも最近のことなのです。

 こうした、苦労した歴史も知らず、普段の生活と同様に「湯水のごとく」使うのが本土(都会)から来た観光客です。離島の人々からすれば、「もっての外」と思われるのは当然のことなのです。水不足に苦しんだ歴史があるが故に、頭にくるのです。
 従って、離島では、意識して水を大切に使いましょう。今でも水は貴重品です。蛇口から水を流しっ放しで歯を磨くなんていうのは、許されないことなのです。節水に心掛けましょう。


竹富島の仲筋井戸


波照間島のシムスケー

2.聖地を大切に

 八重山に限らず、沖縄の各地では、今でも「ウタキ(御嶽)」、「ウガンジョ(御拝所)」、「オン」、「ンガン」などと呼ばれる聖地が信仰の対象として大切にされています。交通安全・豊年・豊魚祈願・祖霊神など祀られている内容は様々です。なかには、立派な社殿や鳥居まで備えたものもありますが、元来は自然の姿そのままに神様と交流する場所であるため、識別できるものが何もなく、私達にとっては単なる空き地や茂みや森のような場所もあります。また、古い井戸や泉であることもあります。しかし、それが島の人達にとってはとても大切な聖地なのです。(つまり、旅行者が、どこが聖地であるかないかを判別することはとても困難なのが実態です。)
 そうした聖地は、本土の神社やお寺のように、誰もがお賽銭をあげて拝めば御利益がある、といった次元のものではありません。それは、特に初めて島を訪れる本土の人にとってはとても理解しづらいものかもしれません。

 また、こうした聖地は、場所によっては島の人達さえ決められた日以外には入らなかったり、その島の神様に仕える資格を持つ人(「ノロ」とか、「ツカサ」と呼ばれる)しか入れないこともあります。また、男性の立入りが禁じられている場所もありますし、女性でも勝手に入ってはいけない場所もあります。(島民もその規律を厳格に守っていることをしっかり認識しておく必要があります。) そうした細かな決まりごとが長年守られてきたわけですから、縁もゆかりもない旅行者が、勝手に立ち入ろうものならトラブルとなるのは当然のことかもしれません。
 従って、結論としては用もないのにあちこちうろつかないことです。どうしても島の中をうろつきたいというなら、島の人に事前に立ち入ってはならない場所を尋ねるなりの心掛けが必要です。また、どうしてもそうした聖地等を近くで見学したい場合は、集落の人に相談のうえ、了解をとってからにしてください。(但し、断られることを前提に!)
 なお、この聖地の立入りに関する制約のレベルは、それぞれの島によってかなりの違いがあるのも事実です。

竹富島の仲筋御嶽

3.島の人の悪口は言わないように
 言い換えれば、島の人間関係は相当に濃密であり、注意が必要ということです。
 石垣島は別として、小さな離島では島民間の情報網は都会の人の想像を遥かに超えるものがあります。また、大部分の人が親戚関係にあったりするのです。
 例えば宿泊した民宿で、ちょっとした不快を感ずるようなことがあって、それを島の他の人にグチったり批判しようものなら、それはあっという間に伝わります。電話の無い時代から島の人々の間の情報伝達力には秀でたものがあり、併せて島の人々の結束力は本土の者が想像する以上に強いものなのです。
 また、グチをこぼしたり批評めいた話をした相手が実はその民宿のオーナーのおじさんだったりおばさんだったりすることもあるわけです。その確率は相当高いものがあると思っていた方がよいでしょう。悪気はないにしても、話しをした相手がどのように受け止めているかはなかなか分からないものです。つまり、誤解を招くような発言は慎むのが望ましいわけで、言い方には気をつけましょう。

 

4.離島の「共同売店」と「コンビニ」は本質的に違うもの
 八重山の離島では、集落の人がお金を出し合って(出資して)、食料品や日用品をまとめて仕入れる仕組みがありますが、それが共同売店です。
 観光客であってもこの共同売店を利用することはできますが、前述のように元は島の人達の生活のために設けられた店であり、観光客相手のものではありません。
 従って、24時間いつでも開いている本土のコンビニと同様なサービスを受けることはできません。商品の品揃えも、日常生活に必要不可欠のもののみが置いてあるという程度で、「○○は無いの〜」などと贅沢を言ってはいけません。
 また、島の伝統的なお祭りや、小中学校の運動会(生徒やその家族を対象とした運動会ではなく、集落の全員が参加するイベント)など、島の人達が皆で協力して行う行事の際には、店じまいが早くなったり、場合によっては終日閉店とされることもあることを知っておきましょう。
 なお、島によっては昼食後の時間帯は(シエスタのため)、閉店している共同売店もありますので注意しましょう。

波照間島の冨嘉売店

5.離島では島の人の前で「何もない」と言ってはいけない

 八重山を訪れる人々には、ある意味、本土の雑踏から逃避したい、南の島の豊かなに大自然にどっぷりとつかってみたい、素朴な地元の人々との交流をはかってみたいなど、色々な理由・目的があるかと思います。 しかし、当然のことながら、実際に離島を訪れそこで過ごせば、それまでの普段の便利な生活とは大きくかけ離れたものであることを実感するはずです。 本土では、お金を出せば大抵のものは何でもすぐに手に入るものですが、離島ではそうしたことはできないため、大多数の方が不自由さを痛切に感じるはずです。 それは、本土ではどこにでもあるコンビニが離島にはないことを例にあげれば、その意味がよく理解できるかと思います。 

 そして、自然の豊かさを誉め言葉のつもりで、島の人達に、つい「何もない所だけれどいい所ですね」とか、「何もなくていい所ですね」という言葉を口にされる観光客がいます。 しかし、インフラ整備も十分でなく、船による生活物資の輸送にも不安を抱えて、また、各種の物資の不足と輸送費が加わることによる物価高に悩んでおられる島の人々にとっては、この言葉は喧嘩を売られているように受け止められる恐れがあります。(実際にあなたが台風などで離島に缶詰状態になった時に、それを痛烈に感じるとることができるでしょう。)
 「何もないとは何だ」、「何もないのがそんなにいいならここに住んでみろ」と言われるかもしれません。 彼等は好き好んで自給自足の生活を選択しているわけではなく、同じ日本国でありながら、自給自足的な生活を送らざるをえない環境下におかれていることについて、配慮をしてあげなければなりません。そのギャップはとてつもなく大きなものがあるのです。(特に、台風で島に缶詰状態になれば、その事を実感できるでしょう。)

 島の人々と少し親しくなると、謙遜の意味で、「何にもない所でねー」などと言われることもありますが、それはあくまでも謙遜の意味でのメッセージであることを理解しなければなりません。 よそ者である、一時の訪問者である私達が口にする言葉ではないことをよく認識しておく必要があります。
 

6.離島にはできるだけ小銭を持参しよう

 離島で買い物をする場合、例えば100円のものを買って一万円札を出した時にお釣りが無いことがあるということを、理解しておきましょう。
 石垣島の市街地には銀行はありますが(都市銀行はなく、地方銀行のみ)、他の八重山の離島にはありません。
 郵便局は、ほぼどの離島にもありますが、高額紙幣を出した時にもしもお釣りが無い場合、そのお店のすぐそばに郵便局があればそこまで走って行って両替をすることもできますが、それができなかったら最悪の場合(お釣りが無い場合)、商品を販売してもらえない可能性もあることを覚悟しておく必要があります。
 (親切なお店の方なら近所をあたってもらえるかもしれませんが、迷惑をかけることになりますので、それを期待してはいけません。)

 都会では普通にできることが、離島では簡単にできないこともよく知っておく必要があります。
 島の人にあまり迷惑をかけないよう、特に離島に渡る前には両替を済ませ、細かいお金を用意してから島に渡るように心がけましょう。

 基本的に、離島の住民の方々は自給自足の生活を送っていて、現金はあまり必要としないという状況をまずは認識しておく必要があるでしょう。
 なお、八重山旅行では急にお金が必要になった場合に備えて、銀行のキャッシュカードに加えて郵便貯金のカードを持参されることをお勧めします。

 

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