八重山を訪れる人々には、ある意味、本土の雑踏から逃避したい、南の島の豊かなに大自然にどっぷりとつかってみたい、素朴な地元の人々との交流をはかってみたいなど、色々な理由・目的があるかと思います。 しかし、当然のことながら、実際に離島を訪れそこで過ごせば、それまでの普段の便利な生活とは大きくかけ離れたものであることを実感するはずです。 本土では、お金を出せば大抵のものは何でもすぐに手に入るものですが、離島ではそうしたことはできないため、大多数の方が不自由さを痛切に感じるはずです。 それは、本土ではどこにでもあるコンビニが離島にはないことを例にあげれば、その意味がよく理解できるかと思います。
そして、自然の豊かさを誉め言葉のつもりで、島の人達に、つい「何もない所だけれどいい所ですね」とか、「何もなくていい所ですね」という言葉を口にされる観光客がいます。 しかし、インフラ整備も十分でなく、船による生活物資の輸送にも不安を抱えて、また、各種の物資の不足と輸送費が加わることによる物価高に悩んでおられる島の人々にとっては、この言葉は喧嘩を売られているように受け止められる恐れがあります。(実際にあなたが台風などで離島に缶詰状態になった時に、それを痛烈に感じるとることができるでしょう。)
「何もないとは何だ」、「何もないのがそんなにいいならここに住んでみろ」と言われるかもしれません。 彼等は好き好んで自給自足の生活を選択しているわけではなく、同じ日本国でありながら、自給自足的な生活を送らざるをえない環境下におかれていることについて、配慮をしてあげなければなりません。そのギャップはとてつもなく大きなものがあるのです。(特に、台風で島に缶詰状態になれば、その事を実感できるでしょう。)
島の人々と少し親しくなると、謙遜の意味で、「何にもない所でねー」などと言われることもありますが、それはあくまでも謙遜の意味でのメッセージであることを理解しなければなりません。 よそ者である、一時の訪問者である私達が口にする言葉ではないことをよく認識しておく必要があります。
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