八重山の蝶   更新 2017.12.16

 ここでは、八重山で出会った蝶を紹介します。
 八重山では本土と違って蝶の種類も多く、またとてもカラフルな蝶が目立ちます。
 動きの速い蝶を撮るのはかなり難しく、もっぱら吸蜜で静止した状態を捉えられたものに限られるかと思います。

 (※青字は、今回追加した箇所です。)

1.アゲハチョウ科  アオスジアゲハ ジャコウアゲハ シロオビアゲハ
ベニモンアゲハ ミカドアゲハ ヤエヤマカラスアゲハ
ナミアゲハ クロアゲハ  
2.シロチョウ科 ウスキシロチョウ キチョウ クロテンシロチョウ
ツマベニチョウ ナミエシロチョウ
3.マダラチョウ科  アサギマダラ オオゴマダラ カバマダラ
スジグロカバマダラ リュウキュウアサギマダラ ツマムラサキマダラ
ヒメアサギマダラ    
4.タテハチョウ科 アオタテハモドキ アカタテハ イシガケチョウ
イワサキタテハモドキ キミスジ タテハモドキ
ツマグロヒョウモン ヤエヤマイチモンジ ヤエヤマムラサキ
リュウキュウミスジ リュウキュウムラサキ ルリタテハ
タイワンキマダラ メスアカムラサキ コノハチョウ
5.ジャノメチョウ科 リュウキュウヒメジャノメ
6.シジミチョウ科  イワカワシジミ ウラギンシジミ ウラナミシジミ
オジロシジミ クロマダラソテツシジミ タイワンクロボシシジミ
ヒメウラナミシジミ ヒメシルビアシジミ ルリウラナミシジミ
ムラサキシジミ    
7.セセリチョウ科 チャバネセセリ ネッタイアカセセリ

1.アゲハチョウ科

アオスジアゲハ 2010.11 [西表島] アオスジアゲハ 2014.07 [石垣島]
クスノキ科の植物を食草とするアゲハチョウで、アゲハチョウ類には珍しく、静止時に翅を閉じて止まります。 大変動きの速い蝶です。
 
ジャコウアゲハ 2010.11 [小浜島] ジャコウアゲハ 2014.04 [黒島]
ジャコウアゲハは体内にアルカロイド毒を持っていて、鳥などに食べられるのを防いでいます。他のアゲハチョウにくらべると、あまり羽ばたかずにゆったりと飛びます。偶然にも、この写真はハナグモの一種に捕食されているところです。 アワユキセンダングサで吸蜜するジャコウアゲハ。
 
シロオビアゲハ♂ 2015.04 [竹富島] シロオビアゲハ♀ 2010.11 [波照間島
八重山で、年間を通じて最も普通に見ることのできるアゲハチョウで、これは♂です。 シロオビアゲハの♀には「シロオビ型」と「ベニモン型」がありますが、こちらは「ベニモン型」です。これは、体内にアルカロイド毒を持ち鳥からの捕食を逃れているベニモンアゲハに擬態していると言われています。
 
ベニモンアゲハ♂ 2015.11 [西表島] ベニモンアゲハ♀ 2015.11 [西表島]
ベニモンアゲハは熱帯アジアに広く分布する蝶で、後翅に鮮やかな赤い斑紋があり、いかにも毒々しい蝶です。事実、ベニモンアゲハは有毒蝶で、シロオビアゲハの「ベニモン型」と呼ばれる一部の雌はこのベニモンアゲハに似せて敵から身を守っていると言われています。
 
ミカドアゲハ 2015.07 [石垣島] ミカドアゲハ 2015.07 [石垣島]
八重山のミカドアゲハはとても美しく、黒地に真っ青な模様が印象的です。このように夏型は後翅に赤色が入っていますが、秋には黄色のものが見られるようになります。 とにかく非常にすばしこい蝶で、撮影には大変苦労させられます。手前の蝶はリュウキュウアサギマダラです。
 
ヤエヤマカラスアゲハ 2011.07 [石垣島] ヤエヤマカラスアゲハ 2011.07 [西表島]
本土に生息するものはカラスアゲハ、沖縄本島近辺に生息するものはオキナワカラスアゲハと呼ばれます。、八重山諸島に生息するものはヤエヤマカラスアゲハとして独立種として扱われています。 ヤエヤマカラスアゲハは、本土産カラスアゲハに比べて前後翅ともに緑色が強く出ます。また後翅前縁部の青色が目立ちますが、この写真(個体)にもその特徴がよく表れています。
 
ナミアゲハ 2017.08 [石垣島] ナミアゲハ 2017.08 [石垣島]
本土では普通に見ることのできるナミアゲハですが、八重山ではなかなかお目にかかれない数少ない蝶の一つです。私も実に久しぶりに姿を見ることができました。 この写真を撮影した時は、シロオビアゲハがしつこくナミアゲハを追っていました。テリトリーへの侵入者とみたのかもしれません。

クロアゲハ 2017.08 [石垣島] クロアゲハ 2017.11 [石垣島]
クロアゲハも本土と違って、八重山では数少ない蝶のように思われます。黒っぽい大型の蝶が飛んでいると大抵はヤエヤマカラスアゲハです。八重山のクロアゲハは後翅の真っ赤な帯がひと際目立ちます。 吸水に訪れたクロアゲハです。
吸水行動には、体温調整やミネラル分等の栄養成分補給をしているという説がありますが、まだはっきりとは分かっていないそうです。


2.シロチョウ科

ウスキシロチョウ 2006.11 [黒島] ウスキシロチョウ 2012.04 [石垣島]
飛ぶスピードはとても速い蝶で、花の蜜を吸うのに夢中になっているような時でないとなかなか撮影の難しい蝶です。年中見ることのできる蝶です。
 
キチョウ 2011.07 [西表島]
従来「キチョウ」と呼ばれてきた種は、近年ではキチョウとキタキチョウの2種に分けられています。本キチョウは南西諸島に分布し、キタキチョウは、本州〜南西諸島に分布しています。
 
クロテンシロチョウ 2012.07 [石垣島] クロテンシロチョウ 2012.07 [石垣島]
石垣島ではほぼ一年中見ることが出来る迷蝶ですが、時期によりその数が著しく変動しています。 ♂♀の区別は非常に難しいように思われます。
 
ツマベニチョウ♂ 2006.11 [石垣島] ツマベニチョウ♂ 2006.11 [石垣島]
ツマベニチョウは、竹富町の「町の蝶」に指定されている「シロチョウ」科の大型の蝶です。食草は「ギョボク」。実に南国らしい蝶ですが飛翔力がとても強く、ハイビスカスやサンダンカなどの花に吸蜜でとまった時でもなければ、なかなかその美しい姿を捉えることは難しいものがあります。 個人的には私が八重山で接することのできる蝶の中で、最も好きな蝶です。
 
ナミエシロチョウ♀ 2010.11 [竹富島] ナミエシロチョウ♂ 2008.11 [西表島]
八重山では一年中見ることのできる蝶ですが、近づくとすぐに逃げてしまい、吸蜜時等でないとなかなか撮影しづらい蝶です。 ♂の表翅は黒紋部がほとんどありません。


3.マダラチョウ科

アサギマダラ 2010.11 [黒島] アサギマダラ 2009.11 [黒島]
長距離を移動することで知られる蝶です。内地でマーキングされた蝶が、八重山でも時々見つかっています。以前、黒島でマーキングされたアサギマダラを偶然捕まえたことがありますが、その蝶は長野県でマークされたものでした。 アサギマダラは秋になるとどの島でも見かけられますが、中でも小浜島の大岳ではよく見かけることができます。
 
オオゴマダラ 2010.11 [石垣島] オオゴマダラ 2011.10 [西表島]
日本最大のチョウで、石垣市の「市の蝶」に指定されている蝶です。市街地においても食草である「ホウライカガミ」がたくさんあるため、街の中でも、ゆったり舞うオオゴマダラを頻繁に見ることができます。黒と白のツートンカラーで一見地味に見えますが、飛ぶ姿は実に優雅で、印象に残ります。なお、さなぎは黄金色の金属光沢をしています。 ハマセンダンと思われる樹木の花に群がり吸蜜しているオオゴマダラです。
 
カバマダラ 2015.08 [石垣島] カバマダラ 2015.08 [石垣島]
ほぼ全世界に広く分布する普遍的な蝶です。ガガイモ科のトウワタが食草です。八重山では食草の関係からそれほど数は多くありません。 センダングサで吸蜜しています。
 
スジグロカバマダラ 2010.11  [西表島] スジグロカバマダラ 2009.11 [黒島]
道端の草地などのあちこちに数多く見みられる蝶です。カバマダラとよく似ています。気温が下がると集団をつくっていることがあります。 食草はガガイモ科のリュウキュウガシワです。 派手な色彩は、体内に毒を持っていることを知らせるためと言われています。
 
リュウキュウアサギマダラ 2009.11 [黒島] リュウキュウアサギマダラ 2006.11 [黒島]
集落近辺の草花が多い所や、海岸べりなど、いたる所で見ることのできる蝶です。スジグロカバマダラとともに、恐らく八重山で最も普通に見かけることができる蝶の一種でしょう。 集団越冬のために集まった姿です。秋に時々見かけることがあります。
 
ツマムラサキマダラ♂ 2015.11 [石垣島] ツマムラサキマダラ♀ 2014.07 [石垣島]
羽を広げると、黒地に鮮やかな金属光沢をした紫色で、とても綺麗な蝶です。 結構飛び回るのが早く、また吸蜜時にはなかなか翅を開いてくれず、なかなか撮影の難しい蝶です。 かつてはなかなか見られない迷蝶でしたが、今では秋になると普通に見られます。めったに翅を開いてとまらない蝶ですが、飛ぶ時は鮮やかな紫色がとても印象的です。
 
ヒメアサギマダラ 2017.04 [石垣島] ヒメアサギマダラ 2017.04 [石垣島]
迷蝶ですが、最近は結構普通に見られるようになりました。 リュウキュウアサギマダラによく似ていますか、青色がなく白っぽいので違いは分かりやすいかと思います。


4.タテハチョウ科
アオタテハモドキ♂ 2008.11 [与那国島] アオタテハモドキ♀ 2011.07 [西表島]
牧場の道沿いや海岸の草地で数多く見られます。ちょうどカメラの接写ができるかできないかの微妙な距離に近づくと、いつも逃げられて休み場所を移してしまいます。なかなか撮影に苦労する蝶です。 ♀は♂よりも地味な翅の色をしています。ちょっと近づくとすぐに飛び立ち、なかなか撮影しづらい蝶です。
 
アカタテハ 2010.11 [石垣島] アカタテハ 2010.11 [黒島]
ほぼ一年中見ることのできる蝶ですが、本土と比較してそれほど数は多くないようです。幼虫の巣は食草のカラムシ群落の中で綴じられた葉が白く目立つのですぐに分かります。
 
イシガケチョウ 2012.04 [竹富島] イシガケチョウ 2014.04 [西表島]
渓流沿いなどの林縁でよく見られ、湿地で吸水したり、花で吸蜜したりします。とまる時は、翅を水平に広げていることが多いようです。これは、センダングサの花で吸蜜しているイシガケチョウです。 こちらはペアリングしているイシガケチョウです。
 
イワサキタテハモドキ 2014.07 [石垣島] イワサキタテハモドキ 2014.07 [石垣島]
イワサキタテハモドキは本来、日本に生息していない迷蝶で、八重山でもまだ珍しい種です。フィリピンにはいますが、台湾には生息していない蝶です。
 
キミスジ 2011.07 [西表島] キミスジ 2011.07 [西表島]
台湾から東南アジアにかけて広く見られる蝶ですが、国内ではまだ迷蝶とされます。以前は与那国島や西表島で僅かな記録があるだけだったのですが、近年では石垣島でも見ることができるようになりました。 2007-8年頃より発生を繰り返しているようで、2011年の夏は、石垣島北部の伊野田原でも見ることができました。表翅の黄色と黒が特徴的です。
 
タテハモドキ 2012.05 [竹富島] タテハモドキ 2011.11 [黒島]
夏型と秋型とで裏面の模様が大きく異なる蝶です。これは夏型です。
 
ツマグロヒョウモン♂ 2012.04 [石垣島]
本土でも暖かい地では割と普通に見ることのできる蝶です。翅の模様は雌雄でかなり異なり、雌は種名のとおり前翅の先端部表面が黒紫色の地をしています。
 
ヤエヤマイチモンジ♂ 2012.05 [西表島] ヤエヤマイチモンジ♀♂ 2012.07 [西表島]
雄と雌とで異なる模様をしている蝶で、雄は本土のイチモンジチョウとよく似た模様をしており、雌は、ミスジチョウのような模様をしています。林道などの少し開けた所をナワバリにし、飛んできては留まりまた飛び立ち、ほぼ同じ所を行ったり来たりしています。 左が♀、右が♂です。
 
ヤエヤマムラサキ♂ 2009.11 [石垣島] ヤエヤマムラサキ♂ 2011.07 [西表島]
毎年のように見ることができる蝶ですが、土着しておらず、いわゆる「迷蝶」です。特に、♀の翅の表面は青く輝きとても美しいものがありますが、写真は♂です。 西表島の船浮の山中で遭遇した♂です。
 
リュウキュウミスジ 2012.05 [竹富島]
大きさ、模様共にコミスジとよく似ていますが琉球列島の固有種です。木々の間をゆるやかに飛び、時々羽をバタつかせた後、スーッと滑空するような飛び方をするのが特徴です。
 
リュウキュウムラサキ♂ 2010.11 [黒島] リュウキュウムラサキ 2010.11 [黒島]
オスの表面は金属光沢をした紫色が鮮やかな蝶です。
またオスは、天気がいい時は樹上などにとまってなわばりを張っています。
翅を閉じたときの様子です。恐らくこれも♂と思われます。
 
ルリタテハ 2009.11 [石垣島] ルリタテハ 2012.04 [竹富島]
本土でもよく見ることのできる蝶ですが、八重山のものは瑠璃色の帯がより濃く鮮明で美しいのが特徴です。
 
タイワンキマダラ 2014.04 [西表島] タイワンキマダラ 2014.04 [西表島]
元は台湾から来た迷蝶ですが、西表島の月ケ浜周辺ではほぼ毎年のように発生しています。今は西表島でも少しずつ分布を拡大しているようです。 比較的ゆったりと飛びますが、人の気配を察知したりすると、すぐに藪の中に逃げ込んだりします。
 
スアカムラサキ♂ 2016.11 [石垣島]
雌雄で翅の模様が極端に異なる型の蝶の1種です。雌の色彩斑紋はマダラチョウ科のカバマダラにとてもよく似ています。
 
コノハチョウ♂ 2017.04 [石垣島] コノハチョウ♂ 2017.04 [石垣島]
雄は、一定の空間を縄張りとして占有し、林縁や林内の道路上などの開けた場所で葉先などにとまり見張っています。縄張り内に他の雄が入るとすぐに追いかけていきます。 翅を閉じると木の葉そっくりなので、この名前が付いています。樹木に逆さになってとまっている姿もよく見られます。


5.ジャノメチョウ科
リュウキュウヒメジャノメ 2009.11 [石垣島] リュウキュウヒメジャノメ 2009.11 [石垣島]
八重山の山や林へ行けば、ほぼ一年中どこでも見ることのできる蝶です。 翅の裏側の白い帯が特徴的です。


6.シジミチョウ科
イワカワシジミ 2014.07 [石垣島] イワカワシジミ 2014.07 [石垣島]
沖縄を代表するシジミチョウの一種です。石垣島ではクチナシの木のある所であれば見かけることができます。しかし数は多くありません。 翅の裏面がとても美しい緑色をしています。
 
ウラギンシジミ 2009.11 [石垣島]
翅の裏側が真白な大型のシジミチョウです。♂の表面は濃茶色地に朱色の紋、♀は濃茶色地に水色の紋を持っています。
 
ウラナミシジミ 2010.11 [西表島] ウラナミシジミ 2010.11 [西表島]
本土では秋になると見ることのできる蝶ですが、八重山ではほぼ一年中姿を見ることができます。
 
オジロシジミ 2010.11 [波照間島] オジロシジミ 2010.11 [波照間島]
食草のマメ科植物が沢山ある草地などでよく見かけることのできるシジミチョウです。
 
クロマダラソテツシジミ 2008.11 [鳩間島] クロマダラソテツシジミ 2008.11 [鳩間島]
近年、大発生を繰り返している蝶で、ソテツの新芽がすっかり食べられてしまったという話をよく聞きます。 この蝶はソテツの周りを活発に飛んでいるので、見つけるのは容易です。
  
タイワンクロボシシジミ 2009.11 [黒島]  タイワンクロボシシジミ 2014.04 [黒島]
普通に見ることのできるかなり小型のシジミチョウです。 吸蜜時は勿論ですが、樹上でもよく見ることができます。
 
ヒメウラナミシジミ 2011.07 [西表島]
他の多くのシジミチョウにある尾状突起がこの蝶にはありません樹林帯の中を活発に飛んでいます。
 
ヒメシルビアシジミ 2008.11 [与那国島]
ヤマトシジミと非常に似ているとても小さな蝶です。
 
ルリウラナミシジミ 2009.11 [黒島] ルリウラナミシジミ 2011.10 [小浜島]
林内で、翅の表面が木漏れ日に当たると、まるで青く輝く宝石が飛んでいるように見えます。
 
ムラサキシジミ 2017.04 [石垣島] ムラサキシジミ 2017.04 [石垣島]
翅の表面が紫色に輝くためこの名が付いています。
内地のものより紫色が濃いように思われます。
天気のよい日には、葉の先端にとまって日光浴をしています。


7.セセリチョウ科

チャバネセセリ 2010.11 [黒島]
イチモンジセセリによく似ていますが後翅の紋様で区別されます。草地や畑などの開けた場所で、花に吸蜜している姿をよく見かけます。
 
ネッタイアカセセリ 2010.11 [黒島] ネッタイアカセセリ 2010.11 [波照間島]
キマダラセセリに似ています。鮮やかなオレンジ色をした目立つセセリチョウで、大変敏速に飛びます。
 
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